リハビリテーションマネジメントについて
リハビリテーションマネジメントは、調査(Survey)、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)(以下「SPDCA」という。)のサイクルの構築を通じて、心身機能、活動及び参加について、バランス良くアプローチするリハビリテーションが提供できているかを継続的に管理することによって、質の高いリハビリテーションの提供を目指すものです。
以下にリハビリテーションマネジメントにおけるSPDCAサイクルの具体的な取組内容を記載します。
調査(Survey)
事業所内で情報収集
事業所の医師の診療、運動機能検査、作業能力検査等により利用者の心身機能や、利用者が個人として行う日常生活動作(以下「ADL」という。)や手段的日常生活動作(以下「IADL」という。)といった活動、家庭内での役割、余暇活動、社会地域活動、リハビリテーション終了後に行いたい社会参加等の取組等といった参加についての状況を把握します。
また、別紙様式2-1「興味・関心チェックシート」を活用し、利用者の興味や関心のある生活行為についても把握します。
事業所外からの情報収集
介護支援専門員(ケアマネジャー)より、居宅サービス計画の総合的援助の方針や解決すべき具体的な課題及び目標について情報を入手します。
また、事業所とは別に医療機関において計画的な医学的管理を行っている医師がいる場合には、適宜、これまでの医療提供の状況についての情報を入手します。
計画(Plan)
リハビリテーションに関する解決すべき課題の把握
事業所の医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、調査(Survey)により収集した情報を踏まえ、利用者の心身機能、活動及び参加の観点からアセスメントを行います。
リハビリテーション計画の作成
事業所の医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、別紙様式2-2-1及び別紙様式2-2-2「リハビリテーション計画書」を活用し、また、アセスメントに基づき、目標、実施期間、リハビリテーションの具体的な内容、リハビリテーションの提供頻度、提供時間、リハビリテーション提供中の具体的な対応等について検討するとともに、必要に応じて歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士等の助言を参考とし、リハビリテーション計画を作成します。
リハビリテーション計画の内容については、利用者又はその家族に対して説明され、利用者の同意を得ます。
なお、居宅サービス計画の変更が生じる場合には、速やかに介護支援専門員に情報提供を行います。
また、事業所とは別の医療機関において計画的な医学的管理を行っている医師やその他の居宅サービス
事業者等に対しても適宜、情報提供します。
リハビリテーション計画書の保存
作成したリハビリテーション計画書は、2年間保存する必要があります。
実行(Do)
リハビリテーションの実施
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、事業所の医師の指示及びリハビリテーション計画に基づき、リハビリテーションを提供します。
医師の詳細な指示
事業所の医師は、リハビリテーションの実施に当たり、当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して、利用者に対する当該リハビリテーションの目的に加えて、当該リハビリテーション
開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等のうちいずれか1つ以上の指示を行います。
指示の内容については、利用者の状態の変化に応じ、適宜変更します。
指示内容の記録
指示を行った医師又は指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、当該指示の日時、内容等を記録に留めます。
サービス提供の記録
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第83 条又は第 119 条において準用する第 19 条に規定するサービスの提供の記録において、利用者ごとのリハビリテーション計画に従い、医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が利用者の状態を定期的に記録する場合は、当該記録とは別にリハビリテーションマネジメント加算の算定のために利用者の状態を定期的に記録する必要はありません。
介護支援専門員を通じたリハビリテーションの観点からの助言等
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、介護支援専門員を通じて、指定訪問介護その他の指定居宅サービスに該当する事業に係る従事者に対し以下の情報を伝達する等、連携を図ります。
- 利用者及びその家族の活動や参加に向けた希望
- 利用者の日常生活能力を維持又は向上させる介護の方法及びその留意点
- その他、リハビリテーションの観点から情報共有をすることが必要な内容
評価(Check)、改善(Action)
リハビリテーション計画の見直し
初回はサービス提供開始からおおむね2週間以内、その後はおおむね3月ごとにアセスメントとそれに基づくリハビリテーション計画の見直しを行います。
- 退院(所)後間もない場合、利用者及びその家族が在宅生活に不安がある場合、又は利用者の状態が変化する等の理由でリハビリテーション計画の見直しが必要になった場合は、適宜当該計画の見直しを行います。
- 目標の達成状況やADL及びIADLの改善状況等を評価した上で、再度アセスメントを行い、サービスの質の改善に関する事項も含め、リハビリテーション計画の変更の必要性を判断します。
- リハビリテーション計画の進捗状況について評価し、見直された計画は、3月ごとに担当の介護支援専門員等に情報を提供するとともに、必要に応じて居宅サービス計画の変更を依頼します。
- リハビリテーション計画の変更が生じた場合は、利用者又はその家族に説明し、同意を得ます。
サービスの利用終了時の説明等
サービスの利用が終了する1月前以内に、事業所の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーション会議を行うことが望ましい。その際、介護支援専門員や終了後に利用予定の他の居宅サービス事業所のサービス担当者、介護予防・日常生活支援総合事業を利用する際はその担当者等の参加を求めます。
利用終了時に、担当の介護支援専門員や計画的な医学的管理を行っている医師に対し、リハビリテーションの観点から必要な情報提供を行います。
参考
厚生労働省:リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について,2021
コメント