はじめに
外腹斜筋は、第5(6)~12肋骨の外面に起始し、腸骨の腸骨稜の外唇の前方1/2の領域、鼠径靭帯、腹直筋鞘を介して白線に停止する、体幹の外側面を斜走する板状の筋です。
外腹斜筋と隣接組織との滑走不全による胸郭の拡張不全が、腰部・肩甲帯の運動機能、呼吸機能などに大きな影響を与えるため、臨床でも触れる機会の多い筋です。
今回は、外腹斜筋を触察するためのランドマークを紹介したいと思います。
外腹斜筋の内側縁
第5肋骨の前方投影幅の中央部(★1)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/5f63f49b6b7d98988e1002a4a4f2d6d5-1.png?resize=600%2C450&ssl=1)
鎖骨中線と肋骨弓が交わる部位(★2)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/04f86ea9c104d100d663feb8a9a65769-1.png?resize=600%2C450&ssl=1)
臍の高さで、腹直筋の外側縁より1~2横指外側の部位(★3)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/63ead695680eb0c485fa3f134844052f-1.png?resize=600%2C450&ssl=1)
★1と★2と★3を結ぶ線が、外腹斜筋の内側縁の想定線になります(想定線1)。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/0ae7c62e50dc705df75843b104ce66cd-1.png?resize=600%2C450&ssl=1)
外腹斜筋の下縁
上前腸骨棘より3横指頭方で、腹直筋の外側縁より1~2横指外側の部位(★3)を確認します。
腸骨稜の上縁より1横指尾方に位置する腸骨稜外唇の前方1/2の領域を確認します(想定線2)。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/7d2a8a5d380f463388d1c8d4512bef57.png?resize=600%2C450&ssl=1)
★3と想定線2を結んだ線が、外腹斜筋の下縁の想定線になります(想定線3)。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/40dcbe9d88c96297b642179a653642d8.png?resize=600%2C450&ssl=1)
外腹斜筋の上縁
第5肋骨の前方投影幅の中央部(★1)を確認します。
鎖骨中線と第5肋骨の交点から1横指外側方の部位(★4)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/60275ab58ebd7cd921d15fb49998721b.png?resize=600%2C450&ssl=1)
第5肋骨の下縁のうち、★1から★4の間の領域が、外腹斜筋の下縁の想定線になります(想定線4)。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/9d831d187199270f191b3999ca596311-1.png?resize=600%2C450&ssl=1)
外腹斜筋の後上縁
鎖骨中線と第5肋骨の交点から1横指外側方の部位(★4)を確認します。
腋窩線(腋窩の中央部から尾方に引いた線)と第9肋骨との交点(★5)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/c64c5ece666a6407486987541305a212-1.png?resize=600%2C450&ssl=1)
半側骨盤幅の中央部(★6)を確認します。
★6を通る矢状面と第12肋骨との交点(★7)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/a402c696bf493a873c765923653c07e6.png?resize=600%2C450&ssl=1)
★4と★5と★7を結ぶ線が外腹斜筋の後上縁の想定線になります(想定線5)。
★4と★5の間の領域は、前鋸筋の前下縁と隣接するため、前尾方に凸の孤を描く、鋸歯状の線になります。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/7ecbec8b200a97f5b85a8a31ece4115c.png?resize=600%2C450&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/d3f3f00cf1a7f0b7549c20d4afc63a1b.png?resize=600%2C450&ssl=1)
外腹斜筋の後縁
半側骨盤幅の中央部を通る矢状面と第12肋骨との交点(★7)を確認します。
腸骨稜上で上後腸骨棘の後端と上前腸骨棘の前端との中央部(★8)を確認します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/9b4ccaedd1bef1dacccd44245c6b928f.png?resize=600%2C450&ssl=1)
★7と★8を結ぶ線が、外腹斜筋の後縁の想定線になります(想定線6)。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/12/1d3b263ce6c9c26d37652d4436a0f96a.png?resize=600%2C450&ssl=1)
おわりに
外腹斜筋を触察するためのランドマークを紹介しました。
正確に外腹斜筋を触り分けるには、今回紹介した視標に加え、外腹斜筋および隣接する筋の3次元的な位置や形状といった解剖学の知識、触察手順、筋を触知しやすい指の動かし方、外腹斜筋に特徴的な触察感を知ることが重要となります。
これらの情報を得るための、書籍および運動器系体表解剖セミナーを主催している研究会を紹介しますので、触察技術の向上にお役立てください。
たてやま整形外科クリニックのスタッフのみなさんは、TOC体表解剖勉強会の予習・復習にお役立てください。勉強会の様子は、下のリンクよりご覧いただけます。
今回もご覧いただきありがとうございました。
コメント