Knee-in&Toe-out(KITO)とは
Knee-in&Toe-out(KITO)とは、膝が内側に向くのに対して、足先が外側を向いた状態のダイナミックアライメント(歩行・走行・ステップなどの動作時に観察した骨の配列)です。いわゆるX脚に近い状態のことを指します。
日常生活の場面では、歩行・階段昇降・立ち上がりなど、スポーツの場面では、走行・ストップ・着地・方向転換など、下肢を曲げた姿勢で負荷がかかる状況でよくみられます。
下肢や体幹の筋力の低下、関節の可動域制限や不安定性などが原因で生じ、さまざまなスポーツ外傷・障害の原因になると考えられています。
本シリーズでは、Knee-in&Toe-out(KITO)において、どのような関節運動が生じるか、下肢にどのようなメカニカルストレスが加わり、どのようなスポーツ外傷・障害が発生するかを解説したいと思います。
今回の投稿では、Knee-in&Toe-outにおける関節の運動の基本を写真を用いて説明します。
Knee-in&Toe-out(KITO)における前額面の運動
Knee-in&Toe-out(KITO)では、足部が固定された状態で、股関節が内転することで、膝が内側に入ります。
これにより、膝関節は前額面において外反位、踵骨は回内位をとります。
Knee-in&Toe-out(KITO)における水平面の運動
股関節の内旋により、大腿が内旋します。
つま先が外側を向き、膝が内側に入った状態で荷重することで、足部は外転するとともに、下腿が内旋します。
大腿も下腿も内旋方向に運動するのですが、大腿の方が下腿よりも大きく内旋するので、膝関節では相対的に外旋位をとります。
Knee-in&Toe-out(KITO)における内側縦アーチの低下
足先が外側を向き、膝が内側に入った状態で荷重し、踵骨が回内することで、内側縦アーチが低下します。
Knee-in&Toe-out(KITO)における膝蓋骨の運動
膝関節の外反と外旋が生じることで、Qアングル(上前腸骨棘と膝蓋骨中央を結ぶ線と、脛骨粗面と膝蓋骨中央を結ぶ線がなす角)が増大します。
これにより、膝蓋骨を外方に牽引する力が強くなり、膝蓋骨の外方偏位が増強します。
まとめ
Knee-in&Toe-outにおける関節運動を写真および表にまとめました。
股関節 | 内転・内旋 |
膝関節 | 外反・外旋 |
下腿近位部 | 相対的な外旋 |
下腿遠位部 | 内旋 |
踵骨 | 回内 |
足部 | 外転・内側縦アーチの低下 |
表|Knee-in&Toe-outにおける関節運動
Knee-in&Toe-outにおける関節運動は、下腿の相対的な回旋運動を理解すると、イメージしやすくなります。
関節の運動を理解すると、Knee-in&Toe-outが起こることで、どのようなメカニカルストレスが下肢に加わるかをイメージしやすくなります。
次回の投稿では、Knee-in&Toe-outにより、下肢の関節にどのようなメカニカルストレスが加わるのかを説明したいと思います。
今回もご覧いただきありがとうございました。
たてやま整形外科クリニックのスタッフの皆さんは、ダイナミックアライメントに関する勉強会の予習・復習にご活用ください。
参考文献
川野哲英:ファンクショナルエクササイズ.ブックハウスHD
川野哲英:FTEXからみたウォーキングの考え方について.臨床スポーツ医学
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