四つ這い

四つ這いの発育発達

腹這いや腹臥位での上肢の運動を通して、肩甲帯や股関節周囲の機能が向上し、身体を持ち上げ支えるだけの機能が向上すると、四つ這いへと移行します。

この時、股関節では、内転筋などの股関節周囲の筋の抗重力性の発達で、爬虫類のように体の外側にあった下肢が体の内側へと内転してきます。このように、下部体幹-股関節のコントロールが十分可能になると四つ這いができるようになります。ここで、関節と関節をつなぐ単関節筋が、コントロール良くする役割を果たしています。

サルも四つ這いをすることができますが、膝をついた四つ這いはヒトにしか出来ない特徴的な動作のひとつとなります。

腹這いや四つ這いを通して、臼蓋に荷重負荷がかかることで、股関節の臼蓋が形成され、立位に備えて股関節の機能を獲得していきます。

腹臥位で上体を手のひらで支えるようになると、膝を引き寄せて前後に重心を移動させるようになることで、骨盤を前や後ろに傾けることができるようになり、下部体幹や骨盤・股関節周囲筋群の主動作筋と拮抗筋が同時活動するようになり安定します。この時、脊柱のS字カーブを構成する腰椎前弯が形成され始めます。

このように、体幹と四肢をつなぐ肩甲帯や股関節の支持性の向上とともに、体幹の空間における安定性が向上します。

四つん這い位を取り始めた段階では、手足をだすことができませんが、四つ這い位で重心移動を行う間にコアが安定し、股関節と肩甲帯の支持性が増してくると、片方の手・足を一歩前に踏み出すことができるよになってきます。

四つ這いは、足の甲を床につけて、足趾で床を蹴ることをあまりしせず、四肢の力よりもコアの力を使って行われる移動運動です。

初期の四つ這いは、右手➡右足➡左手➡左足の順で同側性に進み、運動性の発達とともに右手➡左足➡左手➡右足の順の対側性で這うことができるようになります。この交互の四つ這いが、歩行時の上・下肢の交互の動きにつながります。

獲得機能

  • 臼蓋の形成と股関節適合性の向上
  • 肩甲帯・肩関節の安定性向上
  • 股関節・肩甲帯機能向上
  • 腰椎の前弯
  • コア機能向上
  • 体幹の空間での安定性向上

参考

  1. Rona Alexander,Regi Boehme,Barbara Cupps.機能的姿勢 運動スキルの発達.共同医書出版
  2. Lois Bly.写真で見る乳児の運動発達.共同医書出版
  3. 日本コアコンディショニング協会(2019).発育発達からひも解くコアセミナーテキスト 第5版

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