はじめに
棘筋、半棘筋、多裂筋、回旋筋は、脊柱の棘突起のすぐ外側に位置する筋です。
特に腰部に位置する多裂筋は、評価の際に筋萎縮や収縮不全を確認したり、徒手療法・運動療法などで介入する場面でも触れる機会が多い筋です。
腰に痛みを抱える症例に対し、多裂筋と最長筋・棘突起との滑走不全を改善する目的で徒手療法を実施することも多いので、確実に多裂筋を触察できる能力を身に着けることが求められます。
今回は、棘筋、半棘筋、多裂筋、回旋筋を正しく触察するための指標を写真を用いて紹介したいと思います。
胸椎レベルの棘筋、半棘筋、多裂筋、回旋筋を正しく触察するための指標
後方からみた半側胸郭幅の中央部と、半側骨盤幅の中央部とを通る線を想定線1とします。
想定線1は、腸肋筋の停止部である肋骨角の位置に相当します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/02/2a831ec055ed4fee4e1d0936ea40500d-3.jpg?resize=600%2C449&ssl=1)
中位胸椎の高さで後正中線から想定線1までの幅の内側1/4の部位(✖1)を確認します。
上位胸椎の高さで後正中線から想定線1までの幅の内側1/4の部位(✖2)を確認します。
第2腰椎の棘突起の外側縁(✖3)を確認します。
✖1、✖2、✖3を結ぶ線が、棘筋、半棘筋、多裂筋、回旋筋の外側縁の想定線となります(想定線2)
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/02/63ead695680eb0c485fa3f134844052f-1.jpg?resize=600%2C449&ssl=1)
想定線1と胸椎の棘突起との間の領域で、胸椎レベルの棘筋、半棘筋、多裂筋、回旋筋を触察します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/02/2839ab849d9b2c81bd86f4778e9767e3-1.jpg?resize=600%2C449&ssl=1)
腰椎・仙骨レベルの多裂筋を正しく触察するための指標
第2腰椎の棘突起の外側縁(✖3)を確認します。
上後腸骨棘(✖4)を確認します。
✖3と✖4を結ぶ線が、多裂筋の外側近位縁の想定線となります(想定線3)。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/02/0ae7c62e50dc705df75843b104ce66cd-1.jpg?resize=600%2C449&ssl=1)
想定線2上に指を置き、腰椎レベルの多裂筋の外側近位縁を触察します。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/02/40dcbe9d88c96297b642179a653642d8-1.jpg?resize=600%2C449&ssl=1)
多裂筋は、第3 正中仙骨稜と第4 正中仙骨稜との間の高さ(上後腸骨棘から約3 横指尾方の位置)まで存在していますが、その下縁の筋腹は薄く、触知することは困難です。
![](https://i0.wp.com/funda-reha.com/wp-content/uploads/2020/02/60275ab58ebd7cd921d15fb49998721b-1.jpg?resize=600%2C449&ssl=1)
おわりに
棘筋・半棘筋・多裂筋・回旋筋を触察するためのランドマークを紹介しました。
正確に棘筋・半棘筋・多裂筋・回旋筋を触り分けるには、今回紹介した視標に加え、棘筋・半棘筋・多裂筋・回旋筋および隣接する筋の3次元的な位置や形状といった解剖学の知識、触察手順、筋を触知しやすい指の動かし方、棘筋・半棘筋・多裂筋・回旋筋に特徴的な触察感を知ることが重要となります。
これらの情報を得るための、書籍および運動器系体表解剖セミナーを主催している研究会を紹介しますので、触察技術の向上にお役立てください。
たてやま整形外科クリニックのスタッフのみなさんは、TOC体表解剖勉強会の予習・復習にお役立てください。勉強会の様子は、下のリンクよりご覧いただけます。
今回もご覧いただきありがとうございました。
コメント