病歴には、現在の症状の発症についての詳細について聴取する「現病歴」、同様の疾患に関する過去の症状の発症についての情報について聴取する「既往歴」があります。
病歴の使用目的
病歴は、以下のような目的で聴取されます。
- 症状の経過
- 障害の程度、段階、重症度の判断
- 予後の予測
- 治療手技の選択
現病歴
現病歴では、疼痛や痺れなど患者の訴えている症状が、(最近)いつ出現したのか、また前から繰り返していた症状が、(最近)いつ、どのようなきっかっけで悪化し、今回治療を受けることになったのかなどについての情報を得ます。
- 患者がその症状に気付いてからの期間
- 症状の発症についての詳細
- 発症後の障害や症状の経過
患者がその症状に気付いてからの期間
現病歴では、まず患者の訴える症状が、「いつ発症したのか?」「どれくらい続いているのか?」を聞きだします。
患者の訴えている症状が複数ある場合には、それらが出現した時間的前後関係を明確にします。
症状の発症についての詳細
症状の発症についての詳細では、その症状が、「急激に発症したのか?」「徐々に発症したのか?」を確認します。また、もしなにか思い当たるきっかけや、事故などがあれば、その受傷機転について尋ねます。
これらの情報から、患者の訴えている症状が、外傷性に発症したものなのか、新たな使用(new use)・誤用(misuse)・過用(overuse)・乱用(abuse)・廃用・不使用(disuse)などによるものなのかを推察し、治療目標の決定や予後予測に役立てます。
患者の訴える症状が、外傷が原因で発症した場合、症状が発症してからの期間を踏まえ、組織の治癒過程を阻害しないよう、病期に応じた評価・治療計画を立てる必要があります。
発症後の障害や症状の経過
発症後の障害については、発症後の関節の感じや腫脹・ロッキングの有無などを聴取します。
症状の経過については、発症からいままでの間に、症状が改善しているか?悪化しているか?変わりないか?を確認し、初期段階と現在の症状・障害を比較します。
症状が不安定で、重篤な症状を引き起こしやすい場合には、症状が悪化しないよう注意点や禁忌事項に注意して、評価・治療を実施しします。
また、いままでに実施された治療の内容や短期・長期的な効果に関する情報を聴取し、予後の予測、治療手技の選択などの判断材料に用います。
既往歴
疾患の経過を理解するために、今回治療目的で訪れた疼痛や痺れと類似の症状に関する過去の既往歴について聞き取りを実施します。
- 一番最初に起きたときのことについて詳しく聞く、いつ?どのように?事故?その回復過程は?
- その後、良くなったか(Better)?、同じか(Same)?、悪くなったか(Worse)?
- 複数の症状の関係を明確に
- 他に症状に関係するような受傷は?
- 治療は?誰に(Physiotherapy?Chiropractic?Osteopath?)?
- どのようなタイプの治療?もしPhysiotherapyならどのような治療手技か?
- それらの治療効果は?
コメント