ボディチャート(Body Chart)の書き方を身につけましょう!

主観的評価|問診

ボディチャート(Body Chart)とは

ボディチャートとは、疼痛、痺れ感、感覚低下といった患者の症状に関する情報を身体図に書き込むもので、主観的評価(問診)の最初のステップとして用いられます。


正確にボディチャートを書き込むことで、一目で症状のパターンを把握することができ、クライアントの症状の原因となっている問題のある構造を推察することができので、その後の運動検査をはじめとする客観的評価の計画の立案に役立てることができます。

また、症状の経過観察や、治療の効果判定に役立てることもでき、複数のセラピストで症例を担当する場合には、症例の情報を共有するための共通言語として用いることができます。

このようなことから、ボディチャートは運動器リハビリテーションを行ううえで、最も基本的かつ重要なツールと捉えています。

今回の投稿では、ボディチャートの記載方法と情報の解釈の仕方について紹介したいと思います。

ボディチャートへの記載内容

ボディチャートには、以下の情報が記載されます。

  1. 疼痛の部位
  2. 疼痛の質
  3. 疼痛の部位の深さや浅さ
  4. 疼痛の強弱
  5. 痺れと異常感覚および感覚低下
  6. 疼痛、痺れ、感覚低下の相互関係
  7. その他の関節

疼痛の部位

疼痛(P)のある部位を黒の格子で正確にボディチャートに書き込みます。
疼痛の強さの順に番号を付け( Pa>Pb>PcもしくはP1>P2>P3)記載します。
また、最も症状の強い場所を濃く、そして順に弱いところは薄く描きます。

症状のある部位は、問題のある構造を直接指し示す場合と離れた部位からの関連痛が生じている領域を指し示す場合とがある。

問題のある構造を直接指し示す場合、その領域の表層から深層にある組織(皮膚・筋・骨・関節包・靱帯・神経・血管)のどれかが症状の原因となります。

問題のある構造を正しく推察し、客観的評価の中で確認していくためには、3次元的な解剖学的知識を持ち、体表からその位置関係を説明できる体表解剖学の知識や触察技術を身につける必要があります。


関連痛は、脊柱から末梢、末梢から末梢、末梢から中枢、内臓から脊柱、脊柱から内臓に生じるパターンがあります。問題のある構造を正しく把握するためには、どの構造がどの部位に関連痛を引き起こすかといった知識を身につける必要があります。

神経筋骨格系由来の関連痛は、活動に伴う悪化や休息に伴う緩和がみられます。内臓からの関連痛の多くは、活動に伴う悪化や休息に伴う緩和がみられないという特徴があるので、神経筋骨格系由来の関連痛と区別できる場合があります。

疼痛の質

痛みの質は、問題のある解剖学的構造に関する手掛かりとなります。
「どのような痛みかを表現してみてください」と質問し、患者の表現をボディチャートに記載します。

痛みの質 組織
ひきつるような鈍い痛み
鈍い疼くような痛み 靱帯、関節包
鋭く打ち込まれるような痛み 神経根
鋭くはっきりとした電気が走るような痛み 神経
焼けるような、押し込まれるような、刺すような痛み 交感神経
深く、しつこい鈍い痛み
鋭く、耐えがたい痛み 骨折
脈打ち様、あいまいな痛み 血管性
引用:David J.Magee:運動器リハビリテーションの評価Ⅰ


うまく表現できない場合には、鋭い痛み(sharp)なのか、鈍い痛み(dull)なのかを確認し記載します。

疼痛の深さ

「深部の痛みですか?それとも表層の痛みですか?」と患者に質問し、痛みが表在痛(superficial)なのか、深部痛(deep)なのかを確認し、ボディチャートに記載します。

痛みの深さは、問題のある組織に関する手掛かりを与えてくれます。

表層の場合、筋骨格系の問題であることが多いとされています。

深部、または部位を特定できない場合は、関連痛の可能性が高くなります。

疼痛の強弱と持続痛・間欠痛

疼痛の強弱は、0-10/10で表されるレイティングスケールを使用します。

痛みがない態を0、今まで経験した最大の痛みもしくは考えうる最大の痛みを10で表します。

クライアントがうまく答えられない場合には、痛み止めの内服が必要な痛みの強さを6-7、それほど気にならない程度の軽い痛みは2-3といった、痛みの目安を提示すると答えやすくなり、再評価の際の再現性も高まります。

持続痛(constant)、安静時痛がある状態で、痛みが0になる場面がありませんので、3-7/10といった形式で表します。

間欠痛(Intermittent)は、痛みが0の場面があるので、0-4/10といった形式で表します。

痛みの強さが変化しない持続痛は、悪性疾患の罹患が示唆されるため、既往歴や合併症を確認した上、医師に速やかに報告する必要があります。

痛みの強さの変化する持続痛は、炎症や感染、あるいは外傷に伴う化学的刺激が原因として示唆されます。外傷後の急性炎症の場合には、損傷組織に負荷をかけるような検査を避けるような客観的検査の計画を立てる必要があります。感染が疑われる場合には、速やかに医師に報告する必要があります。

間欠痛は、自由神経終末を刺激する力学的因子など、その因子を取り除けば痛みが消失するメカニカルストレスの関与が示唆されます。

痺れと異常感覚(P+N)および感覚低下(N)

症状のある部位を正確にボディチャートに書き込みます。
痺れと異常感覚(P+N)は赤の、感覚低下(N)は青の点()で表します。

異常感覚は、神経根を含む末梢神経あるいは脳神経のいずれの支配領域でも起こる可能性があり、神経組織の虚血が原因として考えられます。

神経根の皮膚分節・筋節・骨節、腕神経叢、腰仙神経叢および、末梢神経の知識により、症状が神経根の病変によるものか、末梢神経の病変によるものかを区別することができます。

疼痛、痺れ、感覚低下の相互関係

各々の症状に相互関係がある場合、下のような方法でボディチャートに記載します。

↑Pa – ↑Pb と記載すると、Paが強くなると、Pbが強くなることを表します。
↑↑Pa – ↑Pb と記載すると、Paがかなり強くなると、Pbが強くなることを表します。

下の図のPa↑↑-Pb↑,P+N↑,N↑は、Paがかなり強くなると、PbとP+NとNが強くなることを表しています。

症状のある部位の相互関係を確認することは、症状の関連性を明らかにし、問題のある構造の手掛かりを得るためにも重要です。

腰部の痛みが強くなった時に下肢の症状が出現するなら、下肢と腰部の症状は同じ構造で問題が生じていることが推測されます。

腰部の痛みと下肢の症状が別々に起きる場合には、異なる構造がそれぞの症状の原因であると考えられます。

その他の関節

Pa、Pb、P+N、Nと関係のありそうな関節は必ず疼痛の有無を確認し、問題がなければ✔を入れます。

まとめ

ボディチャートの記載方法と情報の解釈の仕方について紹介しました。

たてやま整形外科クリニックでは、新人教育に「ボディチャート」をテーマにしたプログラムを取り入れて、患者さん状態を正しく把握できるようトレーニングし、質の高い運動器リハビリテーションの評価を実践できるよう働きかけをしています。

今回もご覧いただきありがとございました。

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