ハラスメント対策の強化

全サービスに共通する措置

はじめに

令和3年度介護報酬改定において、全サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策を求めることとされています。

訪問・通所リハビリテーションの規定

ハラスメント対策の強化に関して、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令」では、訪問リハビリテーション通所リハビリテーションは、訪問介護の規定を準用することとされています。

以下に、厚生労働省からの通知、「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」における訪問介護の規定を紹介します。

訪問介護の規定

同条第4項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47 年法律第113 号)第11 条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41 年法律第132 号)第30 条の2第1項の規定に基づき、事業主には、職場におけるセクシュアルハラスメントパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。


事業主が講ずべき措置の具体的内容及び事業主が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。

なお、セクシュアルハラスメントについては、上司同僚に限らず、利用者その家族等から受けるものも含まれることに留意すること。

イ 事業主が講ずべき措置の具体的内容

事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。

a 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。

b 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。

なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項の規定により、中小企業(医療・介護を含むサービス業を主たる事業とする事業主については資本金が5000 万円以下又は常時使用する従業員の数が100人以下の企業)は、令和4年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。

ロ 事業主が講じることが望ましい取組について

パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備②被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。

介護現場では特に、利用者又はその家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、イ(事業主が講ずべき措置の具体的内容)の必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、以下の厚生労働省ホームページに掲載しているので参考にされたい。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html

加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した介護職員に対する悩み相談窓口設置事業介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業主が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれらの活用も含め、介護事業所におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。

運営規定の記載例

大阪府枚方市が作成した令和3年介護報酬改定に対応した訪問リハおよび通所リハ事業所における運営規定の記載例を紹介します。事業所の運営規定を「ハラスメントの強化」を盛り込んだ形に改定する際にご活用ください。

参考

厚生労働省:指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号)(抄),2021

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