介護予防や健康増進に効果的なウォーキング

介護予防・健康増進

ウォーキングとは

ウォーキングとは、健康増進や介護予防を目的として、歩き方や運動強度、頻度や時間を考慮して「歩く」活動を行うことです。

ウォーキングは、ジョギングやランニングと異なり、常に足が地面についていますので、膝や腰の疾患を抱えている方でも傷害のリスクが少なく、精神面でも開始時のハードルが低い運動なので、これから運動を始める方でも、抵抗感なく続けて取り組めます。

ウォーキングの効果

ウォーキングは、長時間継続して歩くことで有酸素性運動ができる手軽な運動です。

有酸素性運動は、継続時間が長くなるほど脂肪をエネルギーとして利用する比率が高まるので、体脂肪の減少による肥満解消や血中の中性脂肪の減少、血圧や血糖値の改善に効果があります。

さらに運動することによる心肺機能の改善や骨粗鬆症の予防などの効果も見込まれます。

介護予防や健康増進に必要な毎日の歩行量

健康寿命を延ばすこと、社会生活に必要な機能向上を図ること、生活習慣病予防を徹底することなど、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的方針を示した健康日本21では、平成25年度から平成34年度までの歩数の目標値として20~64歳までは男性9,000歩、女性8,500歩、65歳以上では男性7,000歩、女性6,000歩が掲げられています。

年齢男性女性
20~64歳9,000歩8,500歩
65歳以上7,000歩6,000歩
日常生活における歩数の目標値(健康日本21)

群馬県中之条市で行われた、65歳以上の全住民5000名を対象に10年間追跡した研究によって、「歩数」と「速歩きの時間(中強度の活動時間)」で、予防(改善)ができる可能性のある病気や病態が明らかになりました。

歩数速歩き予防(改善)できる可能性のある病気・病態
2,000歩0分寝たきり
4,000歩5分うつ病
5,000歩7.5分要支援・介護、認知症、心疾患、脳卒中
7,000歩15分ガン、動脈硬化、骨粗しょう症、骨折
7,500歩17.5分筋減少症、体力の低下
8,000歩20分高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム(75歳以上)
9,000歩25分高血圧(正常高値血圧)
10,000歩30分メタボリックシンドローム(75歳未満)
12,000歩40分肥満
1日当たりの「歩数」「中強度活動(速歩き)時間」と「予防(改善)できる可能性のある病気・病態」

要介護認定者の「寝たきり状態」の予防には毎日2,000歩、要介護リスクの高い高齢者の「介護予防」には毎日5,000歩と7.5分の早歩きが有効とされています。

また、元気高齢者が、生活習慣病や各種疾患を予防して、健康に暮らすためには、毎日8,000歩と20分の速歩きが有効とされています。

表をよく見てみると、1000歩増やすごとに予防できる病気が増えていくことがわかります。国民健康・栄養調査では「1000歩=10分」とされており、歩く時間を「10分」増やすだけで将来の寝たきりや病気を防ぐことができる可能性があると考えられます。まずは、今の生活よりもプラス「10分」多く歩くことを心掛けてみましょう!

おわりに

今回は、介護予防や健康増進に効果的なウォーキングについて紹介しました。

変形性関節症などの足腰に疾患のある方が、急にウォーキングを始めると、関節が腫れたり、痛みが出現して、逆効果のこともあります。

このような方は、専門家の助言のもと、歩行車や杖といった歩行補助具を導入したり、適切なシューズ、サポーターやインソールなどの道具を用いることで、安全にウォーキングを楽しむことができます。

また、水中での運動や自転車エルゴメーターやマット上でのトレーニングなどウォーキング以外の運動も視野に入れる必要がある場合もあります。

「ウォーキングを始めたいけど、足腰を傷めそうで心配」という方は、ぜひ当院にご相談ください。

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