介護が必要となった年齢別の主な原因
まずは、介護が必要になった原因と年齢の関係について説明します。
脳卒中は、65~74歳までの前期高齢者加齢において、介護が必要となった原因の多くの割合を占めていますが、加齢と共にその割合は減っていきます。
転倒・骨折、衰弱(フレイル)、認知症が要介護の原因を占める割合は、前期高齢者加齢では少なく、75才以上の後期高齢者で増え、年齢を重ねるごとに多くの割合を占めるようになることが分かります。
転倒・骨折、フレイル、認知症には、これらを総称する老年症候群という名称がついてます。
私の勤務先のある館山市では、後期高齢者が人口の20%以上を占め、令和12年(2030年)まで増え続けることが見込まれています。
よって、館山市では、後期高齢者が老年症候群により要介護状態に陥ってしまうのをいかに減らしていくか、要介護の発生をいかに遅らせていくかが大きな課題になっています。
老年症候群の特徴
老年症候群には、以下のような特徴があります。
- どのような方でも加齢により陥りやすい
- 年々、緩やかではあるが状態が悪化しやすい
- その方の生活習慣によりその速度が変化するといった特徴があります。
よって、悪い生活習慣をもっていると、老年症候群の進行速度が速くなり、より早期に要介護状態に突入してしまいます。
反対に、良い生活習慣をもっていれば、老年症候群の進行速度が緩やかになり、要介護状態に陥る時期を遅らせることができます。
よって、介護予防を進めるためには、住民全体がよい生活習慣をもち生活を送れるよう、適切な情報提供や介護予防のための環境づくりが鍵となってきます。
老年症候群の原因
ここで、加齢や不活発な生活がどのくらい心身に影響を与えるかについて説明します。
通常の生活を送っていても、60~70歳代では1年に1%ずつ筋肉の量が減少すると言われています。普通に生活しているだけでも、確実に足腰の筋肉が衰えていきます。
あまり動かない不活発な生活を送るとどうなるでしょう。
「2日間」の寝たきりの生活を送ると、太ももの筋肉は、1年分減少すると言われています。
よって、「2週間」の寝たきりに生活を送ると、実に7年分の筋肉を失う事になります。
「徐々に、筋肉がやせ続けている高齢者が、風邪などのちょっとしたきっかけで、数日間寝込んだだけで、ベッドから立ち上げれなくなったり、歩けなくなってしまう」ということが実際に起きています。
また、不活発な生活を送り、筋肉がやせてくると、足腰が弱くなり転倒骨折や虚弱(フレイル)につながります。
また、家に閉じこもり人との交流する機会が減ると、脳への刺激が少なくなり、認知機能が低下し、認知症を引き起こします。
よって、不活発な生活は、老年症候群を進行させ、要介護状態に陥る危険を高めます。
高齢者は、一度落ちた筋肉や認知機能はなかなか元の状態に戻りません
介護予防の取り組みにより、今持っている能力を保ち、老年症候群の進行をいかに防ぐかが重要になります。
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