館山市の人口問題と地域包括ケアシステム構築の背景

地域リハ入門

少し古いですが、私が地域リハビリテーション活動や介護予防事業に携わるきっかけとりました館山市高齢者保健福祉計画(H27-29年度)のデータを使い、館山市の人口問題と地域包括ケアシステム構築の背景について説明いたします。

館山市の後期高齢者と現役世代の推移

この表は、館山市高齢者保健福祉計画(H27-29年度)から後期高齢者と生産年齢人口を抜きだし、2010年を基準にその推移を表したものです。

高齢者が増える一方で、現役世代はどんどん少なくなっていく様子が一目瞭然でわかるかと思います。

2010年を基準とすると2025年に後期高齢者は4割増し、現役世代は2割減となります。

館山市の要介護・支援認定者の推移・推計

こちらは館山市の要支援・介護認定者の推移を表すグラフです。

2015年から2025年の10年間で、3406人から4410人と約1000人(約1.3倍)の要介護認定者が増加することが予測されています。

館山市の介護給付費の見込み

こちらは、介護給付費、すなわち介護保険にかかるお金を表すグラフになります。

2015年から2025年の10年間で、48億円から65億円と17億円(約1.4倍)も介護保険にかかるお金が増える事が予測されます。

高齢化が進み、現役世代が減り続けている館山市では、このまま何もせずに現状のまま時間だけが過ぎると、どんどん厳しい大変な状況になることが簡単に想像できるかと思われます。

人口問題により何が起こるか?

人口問題により以下のようなことが起こります

  1. 医療や介護を必要とする方が急増します
  2. 医療や介護にたずさわる専門職が不足します
  3. 税収が少なくなり、社会保障費の財源が足りなくなります

高齢者が増えると、必然的に医療や介護が必要な人が増えます。病院が患者さんであふれかえっている、なかなか施設に入れないという声をよく聞きます。

現役世代の人口の減少とともに、医師、看護師、ヘルパー、リハビリ専門職が、医療・介護が必要な方に対して足りなくなります。どこの介護保険事業所でも慢性的に介護職員不足で困っているという声をよく耳にします。

また、都市部への現役世代が出て行ってしまうため、一人暮らしや、高齢の夫婦で暮らす方が増えます。その結果、通院の送迎、買い物、ゴミ出しなど、家族いればお願いできたことを他の人に頼まなくてはならなくなるので、生活支援が必要な方の増加に拍車がかかります。

現役世代が少なくなると言うことは、税収も少なくなります。医療・介護が必要な方が急増し、税収が少なくなることで、税金で成り立っている健康保険や介護保険などの社会保障制度の継続も危うくなります。

お金が無い状態でなんとかやりくりするために、税金や保険料を上げたり、自己負担の割合を増やしたり、介護報酬・診療報酬を改訂することで、対応がなされてきました。医療・介護か必要な方が増え続け、税収も足りない現状では、今後の報酬改定でも厳しい状況が続くことが予測されます。

リハビリ専門職が対応しきれない方が増えます

リハビリ専門職の視点で考えると、リハビリ対象者はたくさんいるが、目の前の患者・利用者の対応に精一杯で、リハ専門職が対応しきれない状況になって
います。

リハビリ専門職の全体数は増えているはずなのですが、都市部に人材が集中してしまうため、館山市内ではどこの事業所でもリハビリ専門職不足が続いています。

私の勤務するクリニックでも理学療法士・作業療法士が不足しており、集中的にリハビリの実施が必要な患者に十分な頻度でリハビリを提供できなかったり、外来リハビリ部門に人員を多く割かなくてはならないため、訪問・通所リハビリ部門の利用者の受け入れ枠を十分に確保できないといった課題を抱えています。

看取りの問題~看取りの場所はどうなる?~

看取りの問題についても考えてみましょう。

このグラフは、1975年から2035年までの期間に高齢者がどこで最期を迎えてきて、これから先どうなるのかを表しています。

上の緑の部分が医療機関、その下の小さな紺色の部分は介護施設、オレンジは自宅で亡くなる方の数を表しています。

亡くなる方の全体数は、右肩上がりで増えていきます。

1975年当時は医療機関と自宅は同程度だったのですが、2005年までは徐々に自宅で亡くなる方が減り、医療機関は増えてきました。

2005年以降の推計は、亡くなる方の全体数はどんどん増えます。医療機関で亡くなる方はの数は増えず、介護施設と自宅で亡くなる方の数は微増となっている一方、水色で表されるその他でなくなる方の数がかなり増えます。

これが何を表しているでしょうか?

国にはこれ以上病床を増やす計画はないので、病院で亡くなる方の数は増えません。介護施設も徐々に増えているのですが、限界があります。

よって、在宅医療の環境整備を進め、在宅で看取ることのできる体制を整えていかないと、病院でも施設でも自宅でもないその他で亡くなる方が、2030年には47人にも上ることが予測されています。

つまり、このままだとこの47万人はどこでなくなるかわからない不安を抱えたまま、2030年を迎えることになってしまいます。

以上の人口問題に起因する看取りの問題こそが、地域包括ケアシステムの構築 が必要な背景となっています。


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