老年症候群の予防方法
前回の投稿で、75歳以上の後期高齢者においては、老年症候群が要介護の主な原因となり、その予防が重要であることをお伝えしました。
今回は、要介護の原因となる老年症候群を予防方法について紹介したいと思います。
老年症候群は、加齢変化と不活発な生活習慣が原因となり発症します。
加齢変化は、誰しもが避けて通ることができない現象なので、対処することは困難です。
一方で、生活習慣に関しては、不活発な生活習慣を活発なものに変えることで達成できるため、誰しもが対処できる原因と言えます。
よって、老年症候群を予防するためには、「社会参加の機会を増やし、活発な生活習慣を獲得すること」これが重要なポイントとなります。
介護予防に効果的な地域活動
地域の通いの場などを活用し、社会参加を活発にすることで介護予防の推進を図る取り組みは全国で行われており、どの程度の活動を行えば介護予防の効果が出るかが明らかになっています。
JAGES(日本老年学的評価研究)によると、「運動や趣味などの地域活動を、仲間と一緒に役割分担をしながら、週1回以上の頻度で、継続して取り組む」ような活動をすることで、要介護リスク、認知症リスク、転倒リスクを減らすことができると言われています。
筋力に関しても、週1回以上のトレーニングを行うと、筋力を維持・向上させる効果があると言われています。
よって、通いの場の活動で、介護予防の効果を高めるためには、最低でも週1回以上の取り組みが必要であると考えられます。
先生につきっきりで体操や脳トレを教えてもらう受け身の介護予防ではなく、住民が住み慣れた地域での社会参加の機会を増やし、活発な生活習慣を身につけることで、老年症候群を予防し、健康寿命の延伸を図る積極的な介護予防が、これからの介護予防の考え方になります。
高齢化の進む館山市で、地域の健康を守り、住民が安心してイキイキと暮らし続けるためには、介護予防に対する捉え方を180度変える必要があります。
通いの場における介護予防の効果
ここで、通いの場への参加者と非参加者が、自立した生活を送れている割合を比較し、どれくらい通いの場に介護予防の効果があるかを紹介したいと思います。
調査開始から2年経過時点では、参加者と非参加者の自立割合に差は認められません。
しかし、その後緩やかに効果が出現し、4年経過時点で、通いの場の参加者に高い自立割合が示されています。
このように、通いの場に参加し、社会参加を促す介護予防は、短期的なスパンでは効果が得られにくいものの、長い目でみると、じわりじわりと介護予防の効果が表れて認められることが明らかになってきています。
よって、「継続すること」、これこそが、通いの場が高い介護予防効果を発揮するために何よりも重要なことになります。
行政や私たち理学療法士をはじめとするリハビリ専門職の役割は、地域の住民にこれからの介護予防の考え方を知っていただく、通いの場の活動に取り組み続けられるような仕組みづくりやサポート体制の構築を進めていくことになります。
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