はじめに
内腹斜筋は、鼠径靭帯、腸骨の腸骨稜の中間線、胸腰筋膜の深葉を介して腰椎の肋骨突起に起始し、第10~12肋骨の下縁、腹直筋鞘を介して白線に停止する、体幹の外側面を斜走する板状の筋です。
内腹斜筋と隣接組織との滑走不全による胸郭の拡張不全が、腰部・肩甲帯の運動機能、呼吸機能などに大きな影響を与えるため、臨床でも触れる機会の多い筋です。
今回は、内腹斜筋を触察するためのランドマークを紹介したいと思います。
内腹斜筋の内側縁
第5肋骨の前方投影幅の中央部(★1)を確認します。
第5肋骨の前方投影幅の中央部から、臍の高さまで尾方へ引いた線を想定します(想定線1)。
想定線1の下端(★2)を確認します。
腹部の前面で、前正中線上を後方へ圧迫しながら尾方へたどり、恥骨結節(★3)を確認します。
そこから2横指外側方に位置する恥骨結節の外側端(★4)を確認します。
★1、★2、★4を結ぶ線を想定します(腹直筋の外側縁;想定線2)。
肋骨弓より尾方で想定線2のすぐ外側方を並走する線が、内腹斜筋の内側縁の想定線になります(想定線3)。
内腹斜筋の内側縁は、肋骨弓付近では、腹直筋の外側縁から離れて外側頭方に向かいます。
内腹斜筋の上縁
内腹斜筋の上縁は、肋骨弓、第11・12肋骨の下縁に一致します(想定線3)。
内腹斜筋の下縁
上前腸骨棘(★5)と恥骨結節の外側端(★4)、腸骨稜の上縁の前方1/2の領域を確認します。
★5、★4、想定線4を結ぶ線が、内腹斜筋の下縁の想定線になります(想定線4)。
内腹斜筋の後縁
半側骨盤幅の中央部(★6)を通る矢状面と第12肋骨との交点(★7)を確認します。
腸骨稜上で上後腸骨棘の後端と上前腸骨棘の前端との中央部(★8)を確認します。
★7と★8を結ぶ線が、外腹斜筋の後縁の想定線になります(想定線5)。
おわりに
内腹斜筋を触察するためのランドマークを紹介しました。
正確に内腹斜筋を触り分けるには、今回紹介したランドマークに加え、内腹斜筋および隣接する筋の3次元的な位置や形状といった解剖学の知識、触察手順、筋を触知しやすい指の動かし方、内腹斜筋に特徴的な触察感を知ることが重要となります。
これらの情報を得るための、書籍および運動器系体表解剖セミナーを主催している研究会を紹介しますので、触察技術の向上にお役立てください。
たてやま整形外科クリニックのスタッフのみなさんは、TOC体表解剖勉強会の予習・復習にお役立てください。勉強会の様子は、下のリンクよりご覧いただけます。
今回もご覧いただきありがとうございました。
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