はじめに
腸肋筋は、体幹の後面を骨盤から頚椎まで縦走する大きな筋で、両側が働くと頚部と体幹を伸展させ、片側が働くと頚部と体幹の同側へ側屈させる作用があります。
臨床では、腰部に痛みのある症例において、腸肋筋と隣接する肋骨・肋間筋・最長筋・腰方形筋との滑走不全に対し、徒手療法を実施する機会も多く、腸肋筋と隣接組織を確実に触り分ける能力が必要になります。
今回は、腸肋筋を正しく触察するためのランドマークを紹介したいと思います。
腸肋筋を触察するためのランドマーク
腸肋筋の外側縁
半側胸郭幅の中央部を確認します。
次いで、半側骨盤幅の中央部を確認します。
半側胸郭幅の中央部と半側骨盤幅の中央部とを通る線が、腸肋筋の外側縁の想定線となります(想定線1)。
想定線1を指標に腸肋筋の外側縁を触察していきます。
第12 肋骨と腸骨稜との間では、腸肋筋は前方に位置する腰方形筋と隣接します。
よって、想定線1より前外側方に指を置き、腰方形筋との境界を触察することがポイントになります。
腸肋筋の内側縁
後方からみた半側胸郭幅の中央部と、半側骨盤幅の中央部とを通る想定線1を確認します。
後正中線から想定線1までの幅の外側1/3の部位を通る線を確認します。
これが、腸肋筋の内側縁の指標である想定線2となります。
想定線2を指標に、腸肋筋の内側縁を触察していきます。
下位胸椎から上位腰椎の高さでは、腸肋筋は最長筋の表層にも存在し、想定線2よりも内側に位置します。
この領域では、想定線2よりも内側方に指を置き、触察します。
おわりに
腸肋筋を触察するためのランドマークを紹介しました。
正確に腸肋筋を触り分けるには、今回紹介した視標に加え、腸肋筋および隣接する筋の3次元的な位置や形状といった解剖学の知識、触察手順、筋を触知しやすい指の動かし方、腸肋筋に特徴的な触察感を知ることが重要となります。
これらの情報を得るための、書籍および運動器系体表解剖セミナーを主催している研究会を紹介しますので、触察技術の向上にお役立てください。
たてやま整形外科クリニックのスタッフのみなさんは、TOC体表解剖勉強会の予習・復習にお役立てください。勉強会の様子は、下のリンクよりご覧いただけます。
今回もご覧いただきありがとうございました。
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