腹直筋を触察するためのランドマーク

体表解剖

はじめに

腹直筋は、恥骨結節、恥骨の恥骨結合の前面に起始し、第5~7肋軟骨、胸骨の剣状突起に停止する、前正中線のすぐ外側方を縦走する多腹筋です。


腹直筋と隣接組織との滑走不全による胸郭の拡張不全が、腰部・肩甲帯の運動機能、呼吸機能などに大きな影響を与えるため、臨床でも介入する頻度の多い筋です。

今回は、腹直筋を触察するためのランドマークを紹介したいと思います。

腹直筋の外側縁

第5肋骨の前方投影幅の中央部(★1)を確認します。

第5肋骨の前方投影幅の中央部から、臍の高さまで尾方へ引いた線を想定します(想定線1)。

これが、腹直筋の外側縁の臍より頭方の領域の想定線になります。



想定線1の下端(★2)を確認します。

腹部の前面で、前正中線上を後方へ圧迫しながら尾方へたどり、恥骨結節(★3)を確認します。そこから2横指外側方に位置する恥骨結節の外側端(★4)を確認します。

想定線1の下端(★2)と恥骨結節の外側端(★4)を結ぶ、外側凸の孤状の線を想定します(想定線2)。

これが、腹直筋の外側縁の臍より尾方の領域の想定線になります。

腹直筋の内側縁

前正中線上で、第5肋軟骨の高さ(★4)と恥骨結節の高さ(★5)を結んだ線が、腹直筋の内側縁の想定線になります。

腹直筋の腱画

臍の高さ、腹直筋の外側縁と肋骨弓が交わる高さで触知することが多いといわれています。腱画の数、長さおよび形状は、個体や左右により異なります。

おわりに

腹直筋を触察するためのランドマークを紹介しました。

正確に腹直筋を触り分けるには、今回紹介した視標に加え、腹直筋および隣接する筋の3次元的な位置や形状といった解剖学の知識、触察手順、筋を触知しやすい指の動かし方、腹直筋に特徴的な触察感を知ることが重要となります。

これらの情報を得るための、書籍および運動器系体表解剖セミナーを主催している研究会を紹介しますので、触察技術の向上にお役立てください。

たてやま整形外科クリニックのスタッフのみなさんは、TOC体表解剖勉強会の予習・復習にお役立てください。勉強会の様子は、下のリンクよりご覧いただけます。


今回もご覧いただきありがとうございました。

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